代謝適応を知る

〜なぜ体重が落ちなくなるのか?その正体は「体の防衛本能」〜


■ はじめに:順調だった体重が、ある時ピタッと止まる理由

ダイエットを始めたときは体重がスルスル落ちていたのに、

数週間〜数ヶ月するとまったく落ちなくなる――

これは「サボり」でも「甘え」でもなく、体が生き延びようとする正常な反応=代謝適応(metabolic adaptation)によるものです。


■ 代謝適応とは何か?

代謝適応とは、摂取カロリーの制限に対して、身体が「省エネモード」に切り替わる反応です。

具体的には:

  • 基礎代謝量が低下

  • NEAT(生活活動量)が無意識に減る

  • ホルモンバランスが変化(レプチン↓、グレリン↑)

  • 筋分解が進む(代謝に悪影響)

  • 満腹を感じにくくなる

つまり、「カロリーを減らしても痩せにくくなる」どころか、食欲は増して、筋肉は減り、脂肪が燃えにくい状態になるのです。


■ どうして体はそんなことをするのか?

進化の過程で、人間の体は「飢餓に備える設計」になっています。

食事量が減ったと判断すると、**“これ以上痩せたら死ぬ”**と体が判断して、代謝を抑えるのです。


■ 代謝適応が起きやすいパターン

  1. 急激なカロリー制限(1日-1000kcalなど)

  2. 低脂質・低炭水化物すぎる食事

  3. 長期間の連続したダイエット

  4. 運動量が過剰 or 不足

  5. 筋トレをしていない(筋肉が減る)


■ 対策1:リフィード or ダイエット休止

  • リフィード(炭水化物中心に1〜2日だけ摂取量UP)

  • ダイエット休止期間(1〜2週間メンテナンスカロリー)

体に「もう飢餓状態じゃないよ」と知らせてあげることで、ホルモンバランスや代謝の回復が見込めます


■ 対策2:筋トレで筋肉を守る

筋肉は「代謝を高く保つ工場」です。

カロリー制限中でも筋トレを継続し、たんぱく質をしっかり摂ることが重要です。


■ 対策3:長期戦で構える

体脂肪が少なくなるほど、代謝適応は強くなります。

だからこそ、「急がず、コツコツと」が代謝適応を最小限に抑えるベスト戦略。


■ 現場での伝え方(例)

  • 「あなたの体はとても賢くて、守ろうとしてるから体重が落ちにくくなってるんです」

  • 「ここから先は“戦略的な休息”や“筋肉を守る栄養”が大事になってきます」


■ まとめ

ダイエットが止まるのは、意志の弱さではなく、体の賢さ。

適応してくる体に合わせて、こちらも“戦略的にアプローチを変える”ことが成功の鍵です。